経営コンサルティングの実例

中小企業には中小企業のやり方がある

経営コンサルタントのイメージ本でも、インターネットでも、公表されている事業再建の実例を調べてみると、その多くは大企業のケースが中心で中小企業では実行不能な手法ばかりです。
たとえば、不採算な分野から撤退したり、不動産や子会社など資産を売却して大幅なリストラを実施する。
そして、その損失を埋めるべく銀行団から多額の債務免除を得るというようなパターン。

たしかに倒産すれば社会的な影響がはかりしれない大企業の場合は、銀行側が債権を放棄するという大義名分を見出せるでしょうが、中小企業に対して同じことはできません。
大幅なリストラも同じです。
そもそも不採算な分野から撤退なんて、単一の事業分野しかもたない多くの中小企業にとってはあり得ない。
また1,000人を500人にするのと、10人を5人にするのとでは、削減率は同じでも質的には、まったくちがう。
後者は組織として機能しない可能性まであります。

もちろんコスト削減は意味がないっていうつもりありません。
できることは努力すべきです。
ただ、もともとゼイ肉のすくない中小企業にとって、売上げの回復を軸にしていかないと再建はむずかしい。
人員やコストの削減ばかりに注目すると、それ以上に売上げを失うことだって少なくないからです。

では具体的にどうするのか。
私は、自社の強み(お客様が自社をえらぶ理由)をきわめることにつきると確信します。
ただし資金的にきびしいようでしたら、まずはリスケで時間をかせいでください。
再建には少々の時間が必要だからです。
実際にそれで多くの会社が再建を勝ちとってきました。

お客様事例

有限会社永井技研さま

今回は新潟県三条市でバンドソーの研磨をされている渇i井技研の永井社長からお話をうかがいます。

「もう、これ以上の融資はできない」と断られたのです・・・

−永井社長、かんたんな自己紹介をお願いします。

15年前にバンドソーを研磨する職人として独立しました。その後、受注の増加にともなって妻と2人の従業員の総勢44人でやっています。まぁ、典型的な町工場です。

創業当初はコツコツやっていけばなんとかなると思っていました。スタートからお金もありませんでしたから、設備や運転資金はみな借り入れで工面してきました。ぎりぎりではありましたが返済もして、生活もなんとか成り立ってはいました。

でも、独立してから5年ほど経ったとき、運転資金を借りにいくと銀行に「借入れはだんだん増えていくばかりだし、もう、これ以上の融資はできない」と断られたのです。ほんと半ベソをかきながら知人に相談にいきました。実はその知人からはお金を貸してもらうつもりでした。

「ウチみたいな会社がそんな認定を得られるのか?」って半信半疑でした。

−そこで当社を紹介されたワケですね。

はい、ほんとうにお金に困って、商売をすすめるも引くもどうもならないときに、知人に相談にいって紹介してもらったのがきっかけです。

知人には「なにしろ素人が考えているよりも、はるかに引き出しが多いから必ず解決になると思う、相談してみたらいい」と言われました。
それで捧先生に会って、いろいろ話を聞いてもらうなかで、中小企業経営革新支援法の認定を受ける方向で動いていくことになったのです。

最初は「ウチみたいな会社がそんな認定を得られるのか?」って半信半疑でしたが、3ヶ月ほど経ってほんとうに認定されて正直驚きました。認定されると、いままで満足に話も聞いてくれなかった銀行マンが融資話に真剣にのってくるようになって、さらに驚いたのをよく憶えています。

もらったお金や拾ったお金でもいいんですか?

−認定を得るまでのプロセスをもう少しくわしくお聞かせください。

当時、認定の窓口は県の産業振興課でした。新品以上の切れ味を再研磨で実現するという私のアイディアを、最初県の担当者は「こんなちっぽけな零細企業にできるワケないだろう」という態度でしか話を聞いてはくれませんでした。
まったく相手にされてないという感じだったのです。そんなスタートでしたから「あきらめようか」と弱気になったこともあります。

そのころ捧先生からマズローの欲求の5段階説を教わりました。そのときの自分は生理的欲求あるいは次の安全の欲求のレベルにしかないんだなぁって実感しました。
お金はなかったけれど、先生に「もらったお金や、拾ったお金でもいいんですか?」と問われたことは印象に残っています。やはり自分の力で稼ぎたいと思いましたよね。それをきっかけに自分にしかできないことは何かって意識するようになりました。自己実現というとカッコよすぎますけど。

そうやって県庁へ行くたびに先生は県の担当者に「どのような根拠や資料をととのえれば、あなたなら実現できると判断できるのか」などと問うて、逆に担当者に認定の要件を語らせていました。
徐々に外堀を埋めていく感じでしたね。とてもうまいやりかただなぁって感心しました。ほんと自分はモノをつくること以外は、まったく知識も経験もなく、自分ひとりだったら認定は得られなかったと思います。

前の税理士さんは「破産すればいい」なんて乱暴なアドバイスも・・・

−同業者と比較してみてどんな印象をお持ちですか?

完全な同業ではないですけれど、そのころお願いしていた税理士さんとは全然ちがいます。その税理士先生は、なにしろ上からものを言ってきましたし、言っていることも極端であまり参考にはなりませんでした。
銀行がダメなら知人や親戚から借りればいいとか、それがダメなら取引先に支払いを待ってもらえとか、そんなアイディアなら自分でも思いつくし、それができるくらいなら最初から悩んでいません。あげくのはてに借金を返せないなら破産すればいいなんて乱暴なアドバイスもありました。

それに対して捧先生のコンサルは、3〜5年のスパンでやるべきことを考えているように思えます。たしかに今日や明日の問題も重要ですけど、それだけに注目すると思考は袋小路にはまってしまいます。
ちょっと長い目で考えたほうが、逆に目先の問題の解決が見つかっていくことが新鮮でした。とても計画的、段階的なコンサルティングだと思います

どうやって「OK」をもらうかより、どうすれば「NO」といわれずにすむか

−ありがとうございます。でも、なにか不満もあったのではないでしょうか?

不満ではありませんが、一昨年のリーマンショック直後に売上げが急減してリスケをしたとき、相談を切りだすのには勇気がいりました。リスケという手法そのものは知ってはいましたが、税金や社会保険料も払えないような状況でしたから、銀行はもちろん対外的な信用を失うのではないかという不安が大きかったのです。

また、さらにノンバンクからの借入れもありましたから、そういうことも正直に告げることにためらいはありました。しかし、先生はそれらのことに少しも驚かれずにノンバンクに対しては利息の過払い請求をする手続に着手してくれましたし、リスケや税金の分割払いの交渉も粛々とすすめていただきました

それらの手続においては、どうやって「OK」をもらうかというよりは、どうすれば「NO」といわれずにすむかといった視点でのアドバイスをいただき、それが本当に的確でした。感謝するばかりです。

逆に不満どころか、もっと早くに先生を知って、たとえばこの10年もっといろいろなことを教わっていれば、もっと違った現在になっているのではないかと悔やんでいます。

借りることは商売の目的でも、人生の目的でもありません

−なにか今後の期待や要望がありましたら、お聞かせください。

いま悩んでいる人たちには、かつての自分と同じように、不安や心配にすくんでいるのではなく、知識や方法を得て早く適切な行動にでて問題を解決してもらいたいですね。

お金に困ると借りることばかり考えますけど、借りることは商売の目的でも、人生の目的でもありませんから。ちょっと偉そうなことを言ってしまいました、スミマセン。ほんと今後もがんばってください。

株式会社アクティスさま

新潟県三条市でスイミングスクール兼スポーツクラブを2店舗運営されている株式会社アクティスの捧社長にお話をうかがいました。

会員数が減少するというトレンドを変えられないまま数年が経過・・・

−まずは、かんたんな自己紹介をお願いしてもいいですか。

はい、アクティスの捧です。よろしくお願いいたします。当社は祖父の代から材木屋を営んでまいりました。が、私が後を継ぐことを前提に三条に帰ってまもなく大口の得意先が廃業したこともあって、スイミングスクールへの転業を決めました。25年ほど前のことです。

幸いに転業後は新事業も軌道に乗り、平成6年には2店舗目を出店するまでにいたりました。スタッフも20名を超えてきました。
が、10年ほど前からは少子化や不景気の影響もあって会員が減少するというトレンドを変えられないままに数年が経過していました

そのころは、ほとんど利益がでませんでしたから4〜5ヶ月くらい返済すると、返済した分くらいはまた借りなきゃいけないような状況でした。だから借り入れの残高はゼンゼン減りませんでしたね
そんな状況でしたから資金繰りのことが、かなりのストレスになっていました。眠っていても寝汗をかいたり、よく眠れなかったりと、しっかりしなきゃとは思うんですけど、いっそのことすべてを投げ出したいような衝動にかられることもありました。

自分なりにいろいろ考えてみたけれど、具体的に会員を増やすということにかんしては自力では答えを見出せなかったということですよね。そこで自分たちとは異なる視点からのアドバイスが必要だと思っていました。

「いいもの」さえ提供できれば、お客さまは理解してくれると思い込んでいた・・・

−そこで当社のコンサルティングがはじまったワケですけれど、他のコンサルティングと比較しての印象はいかがでしょう。

実は以前にも別の会社にコンサルティングをお願いしたことはあります。それは経営にかかわるコンサルではなく、新しい指導の体系をつくり直すためにきてもらいました。
もちろん、それはそれで有益でしたよ。コンサルタントの指導のもとでスタッフが自ら考え、新しい指導体系を自力でつくったのですから。そういう意味で、スタッフの人的成長や自信の形成におおきく貢献したと思います。

ただ費用対効果という点では、もどかしい部分もありました。「いいもの」をつくったからといって、すぐに会員さんが増えるワケではありません
くわえて、けっして余裕のある状況ではないところに、けっこうなコンサル料金の請求がありましたし。

それに対して捧先生(先生とはいっても弟ですけどね)のコンサルは結果が明快でした。一般的にコンサルティングというと現状を分析して「改善提案」というカタチでしめされるものと思っていましたが、他社の事例などをあげて自分もふくめて参加したスタッフに考えさせるというスタイルでした。

そういうすすめ方で、お客さまからみて自分たちはどうなのかということを考えさせられましたね。

印象的なのは欠けているものはなにかという視点ではなく、既にあるものをどのようにお客さまに訴求していくのかというのがポイントです。お客さまへのはたらきかけが中心ですから結果がでるのも早いんだと思います。

私もスタッフも「いいもの」さえ提供できれば、お客さまは理解してくれると思い込んでいたのですが、「いいもの」であることを伝える、実感してもらうという視点をまったく欠いていたことに気づかされました。

結局は「資本力がないから勝てないな」って結論になっていました・・・

また従来、社内の者だけで議論すると、大手のスポーツクラブなんかと比較して、施設が古いとか、施設の開放性に欠けるとか、トレーニングマシンが少ないとかいった物質面にばかり関心がむいて、結局は「資本力がないから勝てないな」って結論になってしまっていました。「まずは投資ありき」では経営になりませんよね。
そういう意味で、自分たちにはなかった見方や考え方を手に入れることができたことに感謝しています。

もうひとつ、コンサルの比較ではありませんが、以前お願いしていた会計事務所の税理士先生は問題になりませんでしたね。税金の計算はまちがいなかったと思いますけど、交際費を減らすなど子どもでも言えるようなアドバイスしかありませんでしたから。捧先生のような人が身近にいてくれて幸いに思っています。

短期的にシェアが変動するという驚きの効果が!

−具体的な効果はどのようにでていますか。

児童向けのスイミングスクール部門ではコンサル導入後の2年間で会員数は12%増加しています
同業者がシーズンごとに年4回、さらに夏休み前に1回の計5回にわたってチラシをいれても会員数は減っているのに、当社は夏休み前の1回だけのチラシで会員が増えるようになったのですから長足の進歩です。これは低迷するこの業界にあっては驚異的な成果だと思っています。
子どもたちが中心のスクールは、退会はあっても転校は、通常ありえません。ですから短期的にシェアが変動するのは驚くべきことなのです。

成人についてのコンサルはスクールに遅れて一昨年から導入していますが、20年11月から21年10月までの入会者数が45名、1年内退会が25名だったのが、21年11月から22年10月までの入会者は120名、1年内退会は14名と大幅に好転しています。

結果がでるなら、セールスも楽しめる!

−今後の展開をどんなふうに予測しているでしょうか。

結果がでてきたことで、スタッフたちもお客さまをあつめるのは他人事ではなく、自分たちの重要な仕事なんだという自覚がでてきました。
コンサルのおかげで、退会抑制という守りより、より積極的な集客という、いわゆる攻めの姿勢を強めていけると期待しています。

−ありがとうございます。ところで、なんでもいいけど、なにか不満はありませんか。

う〜ん、不満ではないけれど、社長としていたらない部分を指摘されているように感じるときがあるよね。それは、そう受けとられないように配慮してくれているのは分かるんだけれど、それが逆に心にささることがあるかなぁ。 まぁ、しいて言えばってレベルだけどね。トータルでは、たいへん感謝しています。今後もよろしくお願いします。

続いて、再建に先立つお金の問題について、その解決策を具体的な事例とともにお話しいたします。
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